通常の組織では、人事制度は資格等級制度、評価制度、報酬制度の3本柱を中心に構成されています。タレントマネジメントの重要性から、人材開発制度やキャリア開発制度と合わせる会社も増えてきています。人材開発制度やキャリア開発制度は別ページで記述していますので、本ページでは、資格等級制度、評価制度、報酬制度について、当社のコンサルティングサービスをご紹介します。

3つの特徴

・等級、評価、報酬が有機的に繋がるような設計を行います。
・タレントマネジメントサービスへの繋がりやすい設計を行います。
・日本マンパワーの知見を活用したキャリア開発、研修制度をご提案します。

人事制度コアシステム

資格等級制度(特定の基準に基づいて社員を区分し、格付けする。)

大きく分けると、職能資格制度、職務等級制度、役割等級制度などが存在します。

職能資格制度は、日本企業で一番多く見られる制度で、能力の発展に応じて等級を管理し、能力の向上を促します(等級は7~9つ程度)。職能資格要件定義書で各等級に求められる能力を定義します。一度身につけた能力は下がらないという前提なので、基本的な降格はありません。根底に年功的な考えがあると言えます。

職務等級制度では、与えられる職務のレベルに応じて等級を設定し管理するものです(等級は6つ程度)。業務内容と報酬の関連が明確です。各職種と等級ごとに、職務記述書(ジョブディスクリプション)を用意することで、業務範囲を限定します。社員の担当する職務の価値に応じて報酬が決まるため、職務レベルが下がれば(上がれば)、報酬は下がります(上がります)。

役割等級制度では、与えられる役割のレベルに応じて等級を設定し管理するものです(等級は6つ程度)。職務記述書ではなく、職能資格要件定義書と似たような、役割定義書を作成し、そこで各役割を定義します(スタッフレベル、マネージャーレベル、シニアマネージャーレベルなど)。職務等級制度では職務でしたが、役割等級制度では、社員の担当する役割に応じて報酬が決まります。

管理職層と一般職層で等級制度を変えているケースもあります。ある一定等級以上の管理職はラインの長以外に専門職としてのポジションを設けるなど、複線型のコース設計にするケースも多くなっています。

また、総合職、一般職、エリア職、専門職などの職群の設定や営業系、技術系、管理系、現場系などの職種の設定など、業務の実態に合わせた等級制度を構築できていなければいけません。

昇格の基準やモデルを会社としてしっかりと決めておくことも必要です。キャリアの透明性は従業員の満足度に大きく繋がりますので、会社として昇格に必要な要件や標準者(通常評価を受けた社員)の昇格モデルを決め、公表しておくことが望ましいです。

等級や役割、ポジションごとに要件定義をしっかりと区別することで、従業員に求める能力や期待する職務や役割を示します。きちんと各等級の定義ができていなければ、評価や報酬が曖昧になり、不公平さが生まれる原因となります。等級制度の骨組みをしっかりと再確認し、必要であれば見直しましょう。

報酬制度(等級毎の評価結果に基づいて社員に報酬を支給する。)

社員に対する基本給、手当、賞与、退職金などの報酬に関する制度を指します。従業員の評価に基づいて社員を昇格させ、役割を与え、基本給、賞与などを決定します。

基本給に関しては、職能給、職務給、役割給など等級制度における等級や役割と連動しています。さらに本人給や年齢給といった個人の年齢や勤続年数も加味するケースもありますが、減ってきています。等級制度における標準者の昇格モデルを合わせると、標準者の基本給カーブが描けますので、地域平均、業界平均や(データがある場合)同業他社との比較が可能になります。賃金設計は社員への強力なメッセージになりますので、社員の定着化、新陳代謝の促進など他の施策とも連動するようにしましょう。大枠が決まれば、後の管理は号俸管理、洗い替え、昇給額管理など様々です。

手当に関しては、業種によって様々ですが、一般的には管理職等への役職手当、家族手当、子供手当、住宅手当、通勤手当、地域手当などがあります。世間一般的な動向なども鑑みながら見直しを行いましょう。時間外手当、深夜休日勤務手当などの割増賃金も規程に記載しましょう。

賞与に関しては、従業員の評価や会社の業績に連動させるケースが一般的です。部署や職種ごとにそれぞれ設定することも多いです。より成果主義的な報酬制度にするのであれば、売り上げや利益連動型に近づけ、評価による賞与原資のばらつきを大きく設定します。基本給をベースに、人事評価、会社業績を加味して決定する場合が多いです。

退職金に関しては、多くの企業で採用されている制度ですが、支給の計算方法はばらばらです。退職時の基本給に勤続年数による指標を掛け合わせて計算する場合が一般的です。当然、賞与と同じでベースアップなどにより退職金給付引当金が増加しますので、バランスシートの負債の管理からもポイント制に移行する会社も増えています。ポイント制では、従業員が各等級や役割に在籍した年数をもとにポイントを与えて、退職時に累積ポイントに応じた退職金を支払うものです。ベースアップや定昇による退職金総額のリスク管理がコントロールできます。また、社員としても在籍期間中できるだけ上の等級に在籍したいと考えますので、モチベーションのアップにも繋がります。

評価制度(等級毎の基準に基づいて社員を評価する。)

従業員の処遇を決めるための基礎となるものが評価制度です。一般的には、成績評価、能力評価、情意評価、プロセス評価などを行います。成績評価やプロセス評価については、目標管理制度(MBO: Management By Objectives)を設けている会社が多いです。これは、従業員が期初に目標とそのプロセスを立て上司とすり合わせの上で、期中に達成すべき事柄を実行します。当然、組織として大きな目標がブレイクダウンされた戦略的な目標が達成されるようなものでなければいけません。トップダウン目標と呼ぶこともあります。また、個人的な目標としての業務改善や自己啓発、能力開発なども目標になり得ます。こちらはボトムアップ目標と呼ばれます。そして、期末に自己評価を行い、上司や人事委員会などで最終的な評価、評語を決定します。上司は期末や期中の面談やフィードバックを原則行います。これらの一連の流れが目標管理制度です。能力評価に関しては等級や役職ごとに設定した要件定義と照らし合わせて適切な評価を上司が行います。

その他、各評語はどのくらいの割合に設定するか、相対評価か絶対評価か、定性定量指標の設定なども決定する必要があります。

よくある落とし穴に、評価制度の形骸化が挙げられます。評価の甘辛や目標設定の仕方、面談の進め方などは組織で十分に統一をしておかないと簡単に社員の不満に繋がってしまいます。1年に一度は管理職に対して評価者研修を行い、目線を統一し評価制度の公平性や納得性を担保する努力が必要です。

制度設計の進め方

等級制度、報酬制度、評価制度は有機的に連動していなければいけません。図で示す通り、各制度はお互いに影響を与えており、そのつながりが人材開発制度のベースとなります。経営目標の達成には個人のパフォーマンス向上が欠かせませんので、それを下支えする人事制度は大きな意味を持っています。当社では、経営理念、人事部の方針、制度における課題のヒアリング、各種人件費等指標の分析、従業員調査など様々な角度からお客様の制度上の問題点や改善点を考察します。その上で、長年の経験や知見をもとに、最適と思われる制度をご提案します。全体のコンセプトや理念と各制度のつながりは一致しているか、従業員が満足して働けるか、キャリア開発が行えるか、など全体感を大事にしています。時代とともに、人事制度を見直さなければ全社戦略は描けません。少なくとも10年に一度は全体感の見直しが必要でしょう。

人事制度と各要素の繋がり

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